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「息もできない」 [CINEMA]

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 マイミクのAさんの日記に触発されて渋谷のライズエックスで観た。全編の半分以上が暴力シーンという印象を受けるくらいの衝撃的な映像に、まさに「息もできない」。親を殴る、仲間を殴る、借金を返さない客を容赦なく打ちのめす。相手に対して投げつける「シーバルロマ(クソ野郎)」の連呼。
 主演を務めるヤン・イクチュンが自ら脚本を書き監督をしている。彼自身の個人的な経験や感情を映画の中に吐きだしたものだというが、韓国の歴史的背景や、家族制度のひずみなどが投影されているのは間違いない。ベトナム戦争に派兵された過去をもつ父親が精神を病んでいたり、家庭内暴力が日常茶飯に行われていたことなどが描かれている。リアルな暴力シーンに、殴られる側の痛みを感じるのは当然のことながら、殴る側の「哀しみ」のようなものが伝わってくるのは、このような背景に思いを馳せるからだろうか。暴力が暴力を呼ぶ、まさに暴力の連鎖を断ち切るのは、月並みだが「愛」と「希望」なんだろう。救いようがないとの思いに囚われた映画も、終わりの方で一筋の光明が見えてくるのだが・・
 心地よい感動に浸れる映画では決してない。けれどこの映画は、ブラジル・リオデジャネイロの貧民街を描いた「シティ・オブ・ゴッド」(2002年)のように、心の片隅にトゲみたいに刺さって残り続けることだろう。

2010年6月1日
渋谷ライズ・エックス


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コメント 2

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茜丸

ねっ、本当に「息もできない」映画でしたでしょ。
打ちのめされた、という感じでした。
by 茜丸 (2010-06-07 12:19) 

WAN

>茜丸さん

はい、打ちのめされました。

ご紹介ありがとうございます。
もし日記を読んでいなかったら絶対に観ていないと思います。

by WAN (2010-06-07 23:02) 

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