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最後の宵々山コンサート@円山公園音楽堂 (Jul.10,2011) [Music]

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 京都の夏の風物詩といえば祇園祭、というのは誰もが思い浮かべる行事であるが、僕にとっては大学に入学する前年の1973年にはじまった「宵々山コンサート」こそが暑い夏を象徴するイベントだった。その「宵々山コンサート」がついに第30回をもって「これにて締め!」となった。途中中断の年も含めると足掛け38年の歴史に幕が下ろされた。パンフレットにある出演者の名前から記憶をたどってみると、僕がこのコンサートに足を運んだのは30回のうちの半分15回にわたる。大学に入った翌年からは6年連続、会社に勤めだしてからは飛び飛びに、そして2004年の第24回からは毎回参加したことになる。

 今回の最後の宵々山コンサート、円山公園野外音楽堂が人人人で埋めつくされた。初期のコンサートはまさにこんな感じで、いい席をとるために一週間も前から並ぶ人がいたというくらいだ。最近の数回は後部のほうに空席がめだっていただけに、こんなに人がいっぱいの音楽堂を眺めてなんだかとても嬉しかった。閉店に追い込まれたデパートが閉店前の数日間お客が詰めかけ、いつもこんなにお客さんが入っていたら閉店しなくても・・・と思うことがよくあるが、この「宵々山」の終わりは、コンサートをつくりあげてきた出演者・運営スタッフの高齢化、健康上の理由によるものが大きいから、2年前の「中締め」でいったん閉めたお店をファンの声でもう一度開けさせたようなものだった。でも最後にふさわしく7月2日の京都駅前広場でのオープニングコンサートを皮切りに、京都各地で一週間にわたるプログラムが組まれ、「ありがとう円山公園」としてこの日のコンサートにつながる、華々しい終わり方だった。

 中川五郎をトップバッターに始まったコンサートは、高石ともや、道上洋三、国本武春、なぎら健壱、笠木透などが次々登場し盛り上がる中、後半にいくつものサプライズが用意されていた。
 まずは出演者の中に名前がなかった北山修。「自切俳人とヒューマンズー」として第5回から5年連続出演したあの頃のハチャメチャなステージが僕にとっては宵々山のシンボルだった。『あの素晴らしい愛をもう一度』を、加藤和彦が嫌いだったという仰々しい終わり方で大合唱したあとに、ともやさんが一人で唄いだし、少し間をおいて登場したのが城田じゅんじ。このサプライズに会場はどよめき、割れんばかりの拍手で彼を迎えた。『フォギーマウンテン・ブレイクダウン』を弾き終わったとき音楽堂が揺れたように思えた。マンドリンで金海たかひろが加わり、『私を待つ人がいる』が演奏されたとき、このコンサートが始まった73年に出演した最初のナターシャ・セブンが、最後の「宵々山」で一瞬とはいえ復活を遂げることなど誰が想像できただろう。
 八坂神社のおけら火をもらいに行ったのは有森裕子、火入れ式のバックでアカペラを披露したのが中島啓江、ろうそくの火が会場を埋めてフィナーレ、出演者紹介。最後のサプライズが桂米朝師匠の登場だった。

 

楽しいときはいつでも 過ぎてゆくもの
やさしい時代が遠ざかる もう泣かないで

 今、この唄をしみじみと感じている。ありがとう円山音楽堂、ありがとう永六輔さん、ありがとう高石ともやさん。そして、ありがとう仲間たち。・・・・ また新たな始まりです!

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コメント 17

コメントの受付は締め切りました
マサキ

お疲れ様でした。
感動、感激・・・言葉や文字では表現出来ない思いが、今心いっぱいにしています。
本当はもっとクールに斜めから、見ているつもりだったのですが・・・。
自分がこんなにウエットとは思いませんでした、 ( ̄へ ̄|||)
まだまだ修行が足りません(笑)
(写真ありがとうございました)
by マサキ (2011-07-12 21:33) 

D-35

駅コンの翌日知恩院の辺りを歩いたり、京都タワーの展望レストランで食事したりしましたが、「街」に歌われている情景が、そのまま残っているんですね。
なんて、うらやましい青春の時間を過ごされたのでしょう。
by D-35 (2011-07-12 21:37) 

もじゃ博士です

いやあ 初めてが最後の宵々山コンサート 
初めてとはおもえなかった。青春やなあ。
ありがと。 じゅんじさん本当に出て来た時はじんとしちゃった。
バンジョーの弦のねじ調節して弾いちゃう奏法 すごかったわ。
by もじゃ博士です (2011-07-12 22:16) 

TIG@北浦和

コンサートの様子、感動が伝わってきます。ありがとうございます。いけなかったは残念ながら、皆さんのお話聞いて、同じとはいかないまでも、雰囲気を共有させていただきます。
by TIG@北浦和 (2011-07-12 23:24) 

WAN

>マサキさん

東京組にもいろいろとお気遣いいただきありがとうございました。
土曜日の前昼祭のステージでの勇姿はしっかりと記憶されましたよ。
クールなマサキさんをウェットにしたのは、円山音楽堂を埋め尽くした観客の熱さだったかもしれませんね。

>D-35さん

京都の地名が一つも出てこない京都の街をうたった唄。青春の時間を過ごした「街」は僕にとっての宝物です。
せっかく京都に行ったのだから一週間いればよかったのに。

>もじゃ博士さん

観客へのアンケートで今回はじめての人が意外に多かったですね。もじゃ博士も初めてだったとは思いませんでしたよ。全盛期の宵々山の雰囲気を感じることができてよかったですね。

>TIG@北浦和さん

先日のこんとん館ではありがとうございました。
この日のことはしっかり記憶にとどめてきました。またナターシャナイトのときでもお伝えできればと思います。


by WAN (2011-07-13 00:45) 

利取兄

一瞬でもナターシャが復活したのは良かったですね!

主治医より、「残業禁止」「出張禁止」を言われておりますので、休みの日に、京都まで行くことはできません(涙)
最後だということで、行きたかったんですけどね。残念です。

by 利取兄 (2011-07-13 06:31) 

はや

今年はWANさんからのガセメールも無く、余裕こいて開場時間の少し前に待列に敷いたシートに行ってみると、既にシートと荷物は道路の隅に撤去されてました。ヘ(゚◇、゚)ノ
ガセメールを送ってもらったら良かった。(笑)

by はや (2011-07-13 12:06) 

茜丸

城田じゅんじは5年の刑期を終えて活動を再開していたんですね。
きちんと罪をつぐなったのだからと、みんな暖かい拍手で迎えたのですね。
当日は「えっ、大丈夫なの」と思ってしまったのでした。

それにしても、京都にいながら、WANさんより少ない参加回数で
お恥ずかしい次第ですが、私も懐かしの円山音楽堂に響き渡る音楽を
思いきり楽しみました。
また、若い世代の力で、思いをつないでくれる日が来ることを祈りましょう。

by 茜丸 (2011-07-13 12:11) 

WAN

>利取兄さん

ナターシャのオリジナルメンバーの演奏は、レコードやCDで聴いていたことはあっても、コンサートでははじめてでした。まさか最後の宵々山で見られるとは・・・
京の夏の風物詩がなくなってしまうのは残念です。「夏の時代コンサート」が復活してくれないかな。

>はやさん

ぶぶ漬けを食べに行ってたんでしょう(笑)
でもいい席確保できてよかったですね。はやさんのブログの写真、とてもいいアングルで撮れてますね。

>茜丸さん

じゅんじさんは、昨年くらいから東京でアイリッシュフィドルとのDuoライブを行っています。8月には京都、大阪でもやりますよ。複雑な思いを抱く人もあると思いますが、今回暖かく迎えられてよかったなと思います。
円山音楽堂を舞台にした新しいイベントが生まれることを期待してます。
by WAN (2011-07-13 21:29) 

よしだ

前昼祭でぐうぜんにもWANさんの隣に座った者です、私。
いやぁ~、暑かったですねぇ。
体が溶けるかと思いました。

最後の宵々山コンサートに行けなくて残念でしたが、ここにきて
感動をもらうことが出来ました。 
ありがとうございました。
by よしだ (2011-07-18 11:00) 

WAN

>よしださん

先日はお久しぶりでした!
コメントいただきありがとうございます!
前昼祭も暑かったですね。
僕にとってこの2日間は、感動とともに暑かったこともずっと忘れないだろうと思います。
またどこかでお会いできるといいですね。
by WAN (2011-07-18 12:02) 

みいたん

WANさん、京都ではいっぱいお世話になり
ありがとうございました。
行ってよかったぁ。行けてよかったぁ。
めちゃめちゃ楽しかったです。
頂いたコーヒー、すごく美味しかったよん。
家のグルメの次男も絶賛してました。
by みいたん (2011-07-18 15:41) 

WAN

>みいたん

行けてよかったですね。
最後の宵々山にご一緒できてよかったです。
前日から盛り上がりっぱなしでしたね。

コーヒーの感想もありがとう。また楽しみにしててね。

by WAN (2011-07-18 23:52) 

なかぼん

最後の宵々山から一年以上経って二度目の秋風が・・・。第一回から参加してるけど最後が一番感動したね。
会場の盛り上がり、一体感は忘れられない思い出です。

忘れられない思い出と言えば前日の土曜日にバンジョーを持ってステージに上がった者です。ともやさんの横でバンジョーを弾きました。

残念なのがその時の写真がないのです。黒い帽子をかぶったバンジョー弾きです。あの時たくさんの方達がカメラを向けられたり写メを取っておられました。

もしあの時の写真をお持ちでしたらどうかお譲り願えないでしょうか。円山音楽堂、ともやさん大切な思い出なんです。
by なかぼん (2012-10-03 02:41) 

WAN

>なかぼんさん

あのときの写真を探してみました。
たぶんフィナーレで楽器を持った人が全員ステージに上がっている時の写真に、黒い帽子をかぶってバンジョーを弾いている人も写っていました。
どのようにお送りしましょうか・・・
by WAN (2012-10-04 22:22) 

なかぼん

WANさんありがとうございます。出来ればお送り頂ければ幸いです。
送る方法ですね。うーんですが・・・。
今月中にプロバイダーを変えるつもりですので、宜しければこちらまでご連絡いただけますか。

nakabon@ebony.plala.or.jp

大変お手間をお取りしてしまいますが、何よりの思い出ですので本当に宜しくお願い致します。
by なかぼん (2012-10-07 01:36) 

なかぼん

追記

VANさん度々申し訳ありません。黒い帽子のバンジョー弾きさん黒いキャップの方もおられるようで、私は黒いハットで黄色っぽいシャツに首からタオルをぶら下げております。

実費はもちろんお礼も考えております。何卒宜しくお願いいたします。
by なかぼん (2012-10-07 02:12) 

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