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「ヒア アフター」 [CINEMA]

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*ネタバレあり

 80歳のクリント・イーストウッドが監督した「ヒア アフター」を観た。
 霊的能力を持つもののそれを忌み嫌っている青年ジョージ(マット・デイモン)と、リゾート地で津波に襲われ臨死体験をした女性TVキャスターのマリー(セシル・ドゥ・フランス)、常に行動をともにしていた双子の兄を事故で亡くし、彼と会わせてくれる霊能者を探し歩く少年マーカス。それぞれサンフランシスコ、パリ、ロンドンと違う場所で生活する三者のエピソードが交互に展開していく。
 冒頭の津波の場面の映像が凄い(ちょうど先週起こったニュージーランド地震のことが頭をよぎる人もいるに違いない)。津波に巻き込まれるマリーが死後の世界を垣間見るシーンが、観るものに不安を掻き立てる。ジョージが手を触れた瞬間、相手の身近な死者が見えるところもオカルト的だ。しかし、この映画全体の雰囲気はいたってリアルである。現実の世界に足を置き、教条的にならず作り手の死生観をおしつけるものでもない。1人ひとりのエピソードをもっと掘り下げてほしいという欲張りな要求がないでもないが、やがて3つのストーリーが1つになるころには、それぞれが特異な体験をしたことで抱えていた悩みや孤独が癒され、新しいストーリーの始まりを予感させる後味の良い結末が用意されている。
 「死後の世界は、この世でベストを尽くしたうえでの『続きの世界』」というクリント・イーストウッドの死生観が丁寧に語られた作品だといえるだろう。

2011年3月1日
TOHOシネマズららぽーと横浜


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